第49章 roaring
そして到着したそこはもう声も出ないほど美しい空間が広がっていた。
色とりどりの様々な金魚が、アートのように設置された数々の水槽の中でライトに照らされ妖艶に泳いでいる。
真っ暗闇の中に様々なランプや提灯、ライトによって実に艶かしく体現されていて、プロジェクションマッピングや装飾品が、この世のものとは思えないダイナミックな空間を作り上げている。
部屋ごとに世界観が分かれていて、なんと金魚は希少なものも含め全部で3万匹もいるらしい。
芸術としか言えないような変わった形をした水槽や水柱ばかりで、ただの金魚の水族館とは全くもって言えないほど素晴らしく美しい。
目を輝かせてそこかしこを堪能していると、冥冥は満足そうに笑った。
「気に入った?」
「はいっ!感動しちゃいました!
こんなにすごいのあるなんて知らなかったですよ〜」
「ふ…向こうにラウンジがあるから、ランチ休憩しようか?」
「はいっ!わぁ〜楽しみ〜♪」
この一時だけは、
重苦しい胸の内は払拭され、悩みはすっかり吹き飛んでいた。