第47章 determination ■
「ひぁっっ!」
ドンッ!!
「ね、レイ?」
突然壁に両手を押し付けられ、
脚の間に五条の膝が入り込んで身動きが取れないように固定されてしまった。
「……今の僕の気持ち、分かる?」
「っん……っ…!」
首筋に噛み付かれ、ジリッとした痛みを帯びた。
離れていった五条に目と鼻の先で見つめられるが
ペロリと舌なめずりした五条は笑っていない。
目隠しごしだけど、それだけは分かった。
「ご…めん、悟っ…」
「…僕がさ…今…どれだけ感情押し殺してるか、分かるか。」
かつて、こんなに冷たい無機質な声色を発せられたことがあっただろうか…いや、ない……とレイはたちまち恐ろしくなり、生唾をゴクリと飲み干した。
しかも……
押さえつけられている両手首から伝わる五条の両手は…
明らかに小刻みに震えていた。
「っ…ご、ごめんね悟っ、もう絶対っ、
き、気をつけるから!」
死ぬほど本気で怒ってる…
そう思ったレイは眉を寄せて一生懸命訴えかけた。
しかし五条は無の表情のまま
突然レイをテーブルの上に押し倒した。
ガダダッ!!
ギシッ!!
とテーブルが軋む音がした。
「うっ…っ…あっ」
テーブルの上に置いてあった花の生けてある花瓶が落ちていき、ガシャンと割れる前にレイはギュッと目を瞑った。
しかしその花瓶は床で割れる寸前の所でピタリと空中で止まった。
このテーブルの椅子に座ってテレビを見ていたクマによる術式によるものだと理解した。
その花瓶はゆっくりと上がっていき、
トスッとクマの両手に戻った。