第46章 domain
レイと伏黒は、今回の任務先である△△通りと書かれている川沿いへ来ていた。
穏やかな川の流れが妙に不気味で、
以前まではジョギングコースにもなっていたらしいこの通りは今では行方不明者が出ているくらいに危険な場所として有名になってしまったらしい。
そのためもちろん人ひとりいない。
当然今日も伊地知はクマにお供しているため、別の補助監督に帳を下ろしてもらい、レイは伏黒と共に歩みを進める。
「そういえば恵くんはこないだクマと任務に行ったんだったよね!どうだった〜?」
爽やかな笑みを向けられ、伏黒は一瞬息が詰まりながらも視線を上にあげてから言う。
「えぇ。凄かったとしか言い様がありませんよ。さすが特級の呪骸。今ではレイさんも特級だし、お2人に指導してもらえるなんて俺らの世代はラッキーですね。」
前向きなその意見にレイは嬉しくなって頬を弛める。
「ふ…でもクマはただ口うるさいだけで援護はしなかったでしょ?」
「はい、でも…そこが凄いところだと思うんですよ。」
「……ふふっ、そっか。よかった。」
「・・・」
彼女の純粋無垢で澄みきった笑顔を見ていると、つい今が任務中だということを忘れてしまいかねないと思い伏黒は急いで深呼吸した。