第45章 complexion ■
「お誕生日おめでとう七海くん!!」
「おめでとうシチサン!」
「ありがとうございます……」
七海は内心非情に感極まっていた。
こんな日が来るなんて、誰が予想できただろうか。
彼女とは、あの時の会話が最期だったと思っていた。
"私たち3年は来年の春に卒業ってことは、ギリギリ桜は見られるかぁ…今年は忙しくてみんなで花見すらできなかったけど、来年なら見られるよね。さすがに卒業式の日なら!…七海くんお見送りよろしくね!"
"…はい。"
"あ!卒業してもたまにクマと遊びに来るね?そしたら一緒に甘いものでも食べに行かない?クマのせいでいいお店たくさん知っちゃって!全然回りきれてないんだよね〜それか、七海くんオススメのお店でもいいよ?七海くんグルメって聞いたし!"
"……後者でお願いします"
"うん!分かった!楽しみができたなぁ"
卒業を見送ることもその後に会えることもなく…
結局は何も叶わなかった、そんな現実を呪った。
そして逃げた。
それでも一生忘れられない。
あなたたちの存在が。
今でもそう思う。