第43章 MY ALL
レイがその拍子に地面に落とした球体を、彼が拾って飲み込んだ。
レイはゆっくりとその姿を見上げる。
どこからどう見ても…
やっぱり紛れもなく夏油傑だ。
声も、呪力も、術式もそうだ。
何もかもがあの頃の…
大好きだった彼…
「さぁ行こう。君のその呪霊操術の力が必要なんだ」
「…いっ…こうって…ど、どこへ…」
声が震えていて上手く言葉が紡げない。
「ていうか…なん…で……」
「ん?なぜ生きているかって?…知りたいかい?」
彼はあの頃と変わらない優しい笑みのままレイの前へしゃがみ込んだ。
久しぶりに間近で見る夏油傑…
そのときレイは見開いていた瞳孔をさらに開いた。
目を凝らさないと分からないくらいの違和感。
きっと私にしかわからない。
私にはわかる。
なに……?
なんか……
こんなのあの頃はなかった…
悟と殺りあったときについたものだろうか?
それとも百鬼夜行のとき…とか?
でも…
傑だ。
そう思った。