第43章 MY ALL
やはり成長したな…とレイは自分に安堵した。
おかしな幻聴の類などに翻弄されることなくなんなく呪霊を祓っていけている。
そろそろ終わって七海と合流しよう。
そう思っていた矢先だった。
恐らく準1級相当の呪霊を討伐し、
球体にして飲み込もうとした時…
「レイ…」
背後から突然声を掛けられ、瞬時に振り向いた。
「っ?!?!」
「…それ、譲ってくれないかい?」
「………。」
「おやおや…久々すぎて驚かせちゃったかな?
でもこないだも会ったよね」
レイは呼吸すら忘れて微動だにできないでいた。
ただ目を見開いて目の前の人物を凝視する。
艶やかな黒髪をハーフアップにしている。
両耳のピアス。
薄らと細まる優しげな目。
優しい声色に優しい笑顔。