第43章 MY ALL
そんな私にとっても大切だったあなたとクマさんを亡くした時、私はまたあの桜の木の下で涙を零していたことを、この人は知らないだろう。
そして、あの人…五条さんも…
あなたを失ったあの時、どれだけ憔悴していたか…。
あんな五条さんは初めて見た。
あなたは何も知らないでしょうね。
あの時五条さんは
「死にてぇ…」
初めてそんな言葉を呟いたんですよ。
「そんなこと…言わないでください」
「俺の気持ちなんか誰にも分からない!
俺がどれだけ!どれだけっ…」
「・・・」
「いや…悪ぃ…当たっちまった…」
「…いえ…。とにかく休んでください」
「…無理だ…もう俺は休んでなんかいられない。
こんなに無力なんだ…親友も好きな女も助けられない…こんなクソすぎる俺が休息?」
「…でも」
「なぁ…なんで俺の周りの大切な奴はみんな消えてくんだ?…なぜ俺はいつも取り残される?…俺はなんでこんなに何もできないんだ?…なんでこんなに俺は…弱いんだよ…」
「……。」
「…マジで俺も消えてぇよ…クソ……」
私は何も言えなくなった。
言えるわけがなかった。
五条さん以上に私は弱かったからだ。