第43章 MY ALL
「あっ、もしかして!
七海くん、恋人とかともう予定があるとか?!」
「っ!…そのような存在はおりませんが」
「そうなの?七海くんてめちゃめちゃモテそうなのにね」
「……。」
そんなこと初めて言われましたけど…
と思いながら頭を搔く。
「自分の誕生日など…今まで仕事しかしてこなかったので気付いた時にはいつも過ぎてましたよ。」
「えぇっ。そんなぁ…
じゃあ尚更今回はお祝いしようっ!
料理とケーキ用意して待ってるから!きっとクマも悟も喜ぶと思うよ!」
チラと笑顔の彼女と目が合うと、
あの日のことを思い出し目を見開いてしまった。
灰原を亡くしたあの年、あの桜の木の下で
この人が慰めてくれた…その時のことを…。