第43章 MY ALL
何週間かたった頃のことだった。
この日、レイは七海と任務へ出向いていた。
「ここ…来たことある…」
「え。そうなのですか?
まぁ有名な自殺の名所らしいですからね」
そこは高専時代にクマと来た事のある森だった。
幻覚や幻聴に支配され、クマに助けられたあの情けない日を思い出して顔を曇らせた。
今回はそんなことになって七海の手を煩わせるわけにはいかないと固く拳を握る。
ひとまずは一緒に広い森を進んでいく。
まだ、気配や邪気は感じられない。
なんとなく重苦しい雰囲気なのが嫌で、
レイは気を紛らわせるように七海に明るく言った。
「そういえば七海くん、もうすぐ誕生日だよね?」
「…あぁ…そういえばそうですね…」
「よかったらうちでパーティーしようよ!」
「えっ…」
彼女の満面の笑みを見せつけられれば断るなどということはできない。というかそもそも断る理由などないのだが…
「…気を使っていただかなくて結構ですよ。
五条さんに悪いですから」
「えっ、どうして?」
「…どうしてって…」
七海は心の中で苦笑いをする。