第22章 呪い合い、殺し合い、
「“武具のストックが少ない”、俺はまだちんけな呪具1つしか見てない。キャパが少なくて自分1人分の空きを常に確保しておく必要があるのか、それとも影に格納した物の“重さ”を自身で引き受けなきゃならないか」
凄まじい重さに分身は消え、膝をついて動けない伏黒を見て確信した。
「後者でビンゴ!領域の仕様を逆手に取っちゃったよん。乗用車3台分、君の今の重さはざっと2.4t、分身は耐えられなかったみたいだけど、式神はまだ出せるのかなぁ?」
レジィの手には新たなレシートが。
「どうあれ俺は足下に気をつけながら、君が自重で潰れるまで重さを足し続ける」
勝ちを確信したレジィが更に再契象しようとしたまさにその時、不意に剥き出しになった腕に何かが当たるわずかな感触。
不審に思い、上を見上げると黒い影からポツポツと雨が降ってきていた。
呪力で構成された雨粒、それは伏黒の呪力ではない。
たがここは伏黒の領域内だ。
破られた様子も見られないのにそこに他者の呪力が溢れてくるなどまず考えられない。
ある1つの手段を除いて……
「おいおいこんなとこでまた領域展開か?一体誰が……!」
思わず呻くレジィはおろか伏黒も予想だにしていなかった外部からの侵入者、
ただし伏黒にはレジィほどの焦りはない。
なぜならその雨粒が帯びる呪力が覚えのあるとても身近なものだったから。
「恵くん!」