第22章 呪い合い、殺し合い、
追うのをやめないなずなを見て、麗美は逃げ惑い、必死になって言い訳をし始めた。
「待ってってばぁ!私は巻き込まれただけ。見てよこの傷、私もアイツにやられたの!」
痛々しげに眉を寄せ、頬についた擦り傷を指差して示す。
だが、それもなずなの同情を誘うものではなかった。
麗美がレジィに呼ばれて出てきたこともあるが、一番の理由は彼女がレジィ達とともに伏黒を襲ったから。
なずなが実際に現場を見た訳ではないが、麗美は髪を硬化して武器にすると伏黒は言っていた。
そのことから麗美の攻撃を少なくとも一度は受けたと思われる。
そしてそれを裏付ける証拠に……
「その髪についてる血、恵くんのものですよね?」
「え……?」
サソリの尾のように尖る麗美の髪の先を指差す。
黒髪なので分かりにくいが、不自然に張り付いて固まったような跡があり、術式で視力が強化されたなずなにはそれが乾いた血であることも判別できた。
麗美がレジィ達の仲間として行動していたのなら、攻撃対象は伏黒しかいない。
転送地点にあの呪霊が待ち伏せしていたように、恵くんはこの人達に待ち伏せされていたんだ。
結界に入ってバラバラに飛ばされた後、まだ何も分からないところを襲われて、あんな傷を負わされて……
湧き上がる怒りに歯噛みし、なずなはキッと麗美を睨んだ。
「たとえあなたが爆発に巻き込まれたんだとしても、それはあなた達の連携不足。私が手加減する理由にはならないです。私に追われたくなかったら早くこの場から逃げてください」
きっぱりと言い放ち、鬼切を構えると真っ直ぐ麗美に切りかかる。