Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第61章 智の戦い
智視点
指示して、急ぎ、私は、三の丸にある外喜の屋敷に駆けつけて。
客間を目指す途中。玄関先。廊下。居室前……監視や、見張りと思われる男達が数人伸びている……
(よし。首尾は上々)
外喜の監視の目の届かない、わずかな時間で。サクサクと、見張りを片付けるなど……日頃の鍛練を怠らない御庭番達(普段は庭師)には朝飯前……
(私は、庭師として櫻井家で働く父親の弟子として奉公にあがったからね。時に庭師の仕事も……)
というより。
外喜側の、監視や見張りの者達は。
(見るからに素人の寄せ集めだし)
まぁ、外喜の所の使用人達は、ほとんどが短期間で辞めてっ行っている……らしいからね。
人望の無い、 使用人を大切にしないという噂の外喜だからな。
色々方法はあるけど。 時間の関係で。みぞおちなどの急所にちょっと拳入れてやって。 中には何かしらの情報持ってる奴もいるかもしれないからね。丁重に殿様の所へ……
鍛え上げている 一人の御庭番は、軽々と二人の男を担ぎ上げて……歩いて行ったし……
(御愁傷様……)
おかげで、私は、何の労力も使わずに客間にたどり着く事が出来て助かったし。
音を立てぬよう、慎重に。人気の無いのを確認してから天井裏に身を隠し。私は気付かれぬように 少しだけ天井板をずらして開け。
中の様子の状況判断をする。
客間の奥の上座に、翔禾姫が。その隣に雅若が座られている。
(外喜よ。お二方に、上座をお勧めする。それぐらいの礼儀はわきまえてたみたいだな)
外喜は、下座に座っている。薄ら笑いを浮かべている。
(腹立つ)
斜め後ろに、ゆずな殿と、おゆり殿が控えている…… 二人の前には茶道具が置いてある
( 一番好都合な位置だ)
ゆずな殿は、 状況を見て判断しておゆり殿と共に配置に付いてくれたのか……
(姉上のこずえのようにはさせない……)
姉上の事を思うと心が痛くて……
(姉上、見てて下さい)
ふと障子戸の方を見ると、和也様の気配が、確認出来た……