Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第60章 和也の戦い
和也視点
急ぎ、私は三の丸にある外喜の屋敷に駆けつけて。
客間を目指す途中。玄関先。廊下。居室前。監視や見張りと思われる男達が数人
(伸びてる……智殿の仕業か?)
って。
(派手にやらかしたら外喜に怪しまれるだろう?)
そう思ったけど思い直す。
客間に外喜がいるのを確認してから。 私が来るまでの短い 時間の間にサクサクと、見張りを片付けるなど……智殿や、御庭番達には朝飯前なんだろうな。と。
外喜側の見張り達は、翔禾姫様と雅若様を命令で素通りさせた後。私達が来た時の為の備えに守備体制に入ったのに。あっという間に布陣を崩されたのか。
(御愁傷様……)
一人の男が現れて、伸びてる男を担ぎ上げるとどこか連れてってしまったし。
(どこかに。反対に監視を付けて見張るんだなきっと……)
おかげで、私は何の労力も使わずに客間にたどり着く事が出来て助かったし。
音を立てぬよう慎重に障子戸の前に陣取ると。私は気付かれぬように、障子に小さな穴を開け。
中の様子の状況判断をする。
客間の奥の上座に翔禾姫様が。その隣に雅若が座られている。
(外喜よ。お二方に上座をお勧めする。それぐらいの礼儀はわきまえてたみたいだな)
外喜は、下座に座っている 。私に背を向けていて。
(好都合だ)
その更に右斜め後ろに、ゆずな殿と、持女のおゆりが控えている…… 二人の前には茶道具が置いてある
(智殿に指示されたのか……)
もしかしたら……二人の内のどちらかは外喜に屋敷手伝いに来るようにと、指示されたのかもしれない……
(智殿の姉上のこずえ殿のように……)
私は、真っ正面の位置よりも、ゆずな殿と、おゆりの動きも良く見える場所に移動して。 様子見る事にした。
ふと天井を見上げると、分からない程度に天井板がずらされていて。智殿が確認出来る……
雅若はお可哀想に緊張しているのか…… いつもは健康的で。紅く染めた頬をされているのに。青白い顔色をされていて。
しかし、お小さいながらもキッと外喜に 鋭い視線を向けておられた。
翔禾姫様は、さすがだ…… それと悟られないように…… 視線で、客間の中の人や物の配置を確認され。更に天井裏の殿と、障子戸の外の私まで確認されたようだ。