Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第82章 あの日 あの時
『爽様と、翔禾姫、雅若と…… 何も煩わしい事の無い。幸せの国で暮らしとうございます……』
-舘の居間-
船着き場にて。
「立ち話では何ですから、館にて話をされたらいかがですか?」
お付きの女性の言葉に、その場に居た者達は館に移動する事に。
上座には、下座から見て右側に座る、爽 と、爽が 『楓菜姫様 』と呼び掛けた女性。左側(向かいに)様 、翔禾姫、雅若、潤、 翔希の方 、陽 、純梨の方が座り。
下座に、 和也、 智 、なずな。お付きの女性は、お茶の支度をしている。皆が、涙したり、瞳を潤ませているのを、どこか、ボンヤリと見つめている『翔菜』
「六年前のあの日『爽様と、翔禾姫、雅若と…… 何も煩わしい事の無い。幸せの国で暮らしとうございます……』翔太菜姫様がそうおっしゃられた後、気を失われなわれたのを……私は……私自身、取り乱して気を失ってしまって。気が付いた時には。そこに控える早月……翔菜姫様の乳母であり、私の母親の早月と弟の勇が、翔菜姫様を二宮家へ『命は取り留められたけれど、余談を許さない状態です』と。看病もしてくれて。私の事は、純梨の方が……」
「純梨の方様。事件後、箝口令を敷いて下さって、父を看病して下さってありがとう」
「翔禾姫様 ……」
純梨の方は、涙し。翔禾姫の瞳にも光るものが……
(お母上様が生きておられる……)
翔禾姫は、父の爽より、雅若と共に聴いた時、嬉しくて。
「シヨウ ひめさま……?」
「雅若様。 ごめんなさいね。大丈夫よ」
雅若も。翔禾姫と共に聴いた時、嬉しくて。
夢にまで見た『母』に島で逢えた喜び。 海辺で刺し子をしている傍に居る時、幸せで。
でも、自分の事を『知らない』のが悲しくて……
『翔菜姫様 ……良かった……ご無事で』
(ここはどこ?)
「早月……ずっと、お母上様のお傍に居てくれたのね。ありがとう」
「翔禾姫様 ……もったいないお言葉……ありがとうございます」
「早月と、勇叔父様が二宮の方達がお母上様を守ってくれていたのね……」
『翔菜姫様。こちらで静養すれば、直ぐ良くなりますよ』
(島で逢う度、優しくしてくれた人……?)