Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第70章 あなたがいたらそれだけで……
-パチっ-
「翔禾姫様?」
「翔禾姫?」
「翔禾姫?」
「ショウ ひめしゃま?」
「翔禾姫様?」
「翔禾姫様?」
和也様。智殿。潤兄上様。雅若様。なずな。純梨の方様。
今の会話は、 夢の中の会話じゃなくて。 夢現の中聞こえて来た……
(そうだあの時。私、視界が暗くなって、意識が遠のくのを感じたのよね……)
「私、気を失っ たのですね?」
それぞれ皆で、頷きながら。皆が皆、涙していて。
「 ごめんなさい。心配を掛けてしまったのですね」
「 ショ ウひめしゃま わるくないで……す」
「雅若様…… 助けて下さってありがとう」
そう伝えると、私に抱き付いて泣き出した雅若様。
どんなに怖い思いをしたのでしょうね。ギュッて雅若様を抱きしめて。
私は、丸1日 眠っていたらしい。
外喜は、お父上様の、厳しい 取り調べを受けているとの事。
けど今は……
雅若様は、あの後本丸御殿の北御殿に戻り、湯あみをしてゆっくりと休ませたからか。体調を崩す事はなかったと聞いて安堵して 。
でも、心が不安定になったのか。 ほぼ改善されていた、舌足らずな話し方に戻ったと聞いて可哀相で。
「雅若様。もう心配ありませんよ? 一緒にいますからね 。あなたがいたらそれだけで……」
「ショウ ひめしゃま いっしょにいたら しあわせしぇ」
ほっぺたを涙に濡らしながら、 こちらが幸せになる言葉を下さった雅若様。
私は、雅若様の涙を、右手の親指の腹にて拭いながら。
(良かった……また逢えて……私達の今後について考えなくちゃね……)
そんな事を思ったの……