Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第64章 純梨の方の戦い
純梨の方視点
私……いえ、櫻井家の人間が、動けば護衛の為の人間も動くわけで。
それは、相手方も同じ。
外周りにて三の丸を目指すには、距離は長く、時間もかかるので渡り廊下を使って屋敷に向かいながら見張りとかがいなくて無用心だな……と。
しかし、さすがに外喜の屋敷周りには、見張りがいて入り込む隙間などなくて…… 物陰に隠れて様子を見ることにしたのだけれど。
それにしても。己の欲望の為に家臣達を駒のように……私は、同じ松本の家の者として悲しくて、申し訳なくて、辛かった。
(叔父は、こうして自分を支えてくれる者達の働きによって、日々の生活が出来ている事を理解してるのかしら)
そんな事を思っていると、櫻井家の誰かの命を受けたのだろう。見張りの者達を……
本当にあっという間で……相手に反撃の隙を与えない、素早い動きで…… 主に拳で相手の急所(特にみぞおち)を狙って倒してしまうと、どこかへ連れて行ってしまった。
「凄いわ……」
(って、 感心してる場合じゃないわ)
その隙に屋敷内へ潜り込んで、叔父の部屋の近くに近付くも…… 外と同じように屋敷内の見張りの者達も居なくなっていた。
しはらくして。
(翔禾姫様? 雅若様?)
それこそ、お供の一人もにも付けずに……
私は何も考えず、 感情だけで動いた事が恥ずかしかったの。この短時間で、きっと、殿様も、楓希の方様も、陽様も。智殿が策を練って翔禾姫様と雅若様をお守りすべく、動き出しているのだと思ったから。和也様に潤も動き出しているかもしれない。
それでも……
(私にしか出来ない事をするのよ。反省は後。落ち込んでいる場合じゃないわ)