第1章 1章 崩壊そして邂逅
鴉取神社にてーーー
玉依一族の長男は結界を張る妻の護衛として本殿を守っていた。
その時、小さな子どもが必死になって境内を走って本殿の前で転倒した。
結界を張っている際は本殿の方からは境内の様子が見えるが、境内からは本殿には誰もいない様に映る。
本来であれば、結界を張る妻を第一優先とし、絶対に傍を離れてはならなかった。
しかし、あと三月もすれば子が生まれる若い夫婦には、目の前で倒れている小さな子どもを放っておくことなと出来なかった。
長男は周囲の様子を伺い子ども以外いないことを確認し、本殿を出た。
この時、ただの鬼が子どもを追いかけ回していたのなら長男にも対処できていただろうーーー
偶然、子どもを追いかけていた鬼が十二鬼月にやや劣る力を持ち、尚且つ気配を消すのを得意としていた。
ザシュッ!!
瞬きをした瞬間に長男は生き絶えた。
「っ!!」
「この男、急に何処からともなく現れたな…。ヒヒヒッ!こいつの血は中々の上物だな。」
そう言いながら鬼は兄に喰らい付いた。
結界を張るには並大抵の集中力では足りない。そのため、鍛錬はしっかりと積んでいるのだが、目の前で大切な人が殺されて動じない方が無理な話しである。
「中々の血だったが、ちょっと薄かったなー。……お!」
「あっ…!」
必死に冷静になろうとしても義姉は上手くいかず、結界が解けてしまった。
その時、偶然鬼と目があった。