第15章 縛りの為の呪物
優しい大きな手が繰り返し撫でていて、その手が私の頬へと伸びる。囁くのを止めた彼は、互いに顔が良く見えるようにして。
悟は私の両頬を手のひらで包み、少し見つめ合った。
「……オマエの全てを、愛してんだよ」
ぼろぼろと溢れる涙が止まらない。指先で涙を何度も拭われても流れ続ける雫。
それを見て悟は笑って、困った顔して悪態をついた。
「僕の気持ちが分かったらさっさと泣きやめ、泣き虫ハルカ。泣き止まないと嗚咽で舌噛むからキスが出来ないだろ?
ほら、僕の為に笑ってよ、ハルカ……」
頬を挟むように包む手。ちょっと困った顔で、親指で口の端を持ち上げようと悟が奮闘してるのを見て、私は少しだけ可笑しくて泣きながらに笑った。