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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


『男の人は身代わりにはならないの?』

「ええ…、髪は女の命、という言葉ございますね?また、男であれば……毛根の死滅なども、ははっ…、ありますからね。女性が適している、と女系に絞られています。
春日に産まれた男子は式髪を受け継ぎません、またその子孫にも式髪は引き継がれないそうです」

この場に悟は居ない。ただ、祖母の従者である龍太郎と私だけだった。

「春日家には女系の生まれる家庭から男が混じっている場合、その男子を貰う、という掟があると言いましたよね」

『え、ええ…』

「私がハルカ様の生まれながらにしての婚約者……許婚で御座います。婿入り後は従者となるしきたりが御座います。現在は"人手不足"故に従者見習いのままで滞在させておりますが…」

その言葉を聞いて思わず振り返って、龍太郎の顔を見た。彼は冷静に微笑みを浮かべている。
──婚約者。えっ?
こ、ここ…こんやくしゃあ!?
そんなの初めて知ったぞ、私!

『……はあ!?』
「ですので、五条様とはきっぱりとお付き合いの縁をお切り下さい。私がおりますから」

にっこりと笑い、自身の胸に手を当ててお辞儀をする。スーツを着ているため執事のようにも見える。

『なっ、そんなの…別に付き合ってもないけどっ、でも…そういうのって困る!婚約者とか居るの、初めて聞いたし!』
「どうしてでしょうか?お嬢様、いえ、次期当主であるあなた様を信じれば、五条悟様とお付き合いされていないのならば良いのでは?それとも私めに何かご不満でも?」

どっからどう見ても、この従者かつ婚約者?と言ってる龍太郎はスタイルも良く、顔もなかなか良く。悟と違って度々イラつかせるような性格の悪さは無い。けれども、私的に許婚的な、そういうのは嫌だった。
自分の目で見て、自分で好きと感じて、相手を知っていく……そういう、母と父のような自由恋愛が良い。従って、どんなに容姿が良かろうともそれは御免だ。

『そういう、人に決められた相手っていうのは嫌』

「今更そう言われましても、20年以上前から決まっておりましたので」

直ぐ側に立つ、龍太郎から少し距離を取る。

──門の外には盾にしようとする人。門の中には生まれながらの許婚。
私はどうすれば良いんだろう。死ぬ為の道具と成り下がるふたつの道、私が選ぶべき選択は……──。
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