第5章 "好き"が止まらない!
「みたらいの姉貴、五条先生たまに構ってあげたら?」
『構うと調子に乗るので鞭10回に1回の飴程度で良いんだよ。それから虎杖君、私はレディースじゃないからな……』
~♪
ホームルーム終了の鐘が鳴った。
それに合わせて悟は片手を口元へ、声がこちらに届くように添えて少し大きめの声で呼びかける。それはクラスメイトにではなく、私にのみの要件。
「あ、そうそう。皆から色々と遅れてるからハルカは毎日補習受けること!良いね?特に呪術の授業についてね!」
『うそ、だろ…?』
編入早々に…?マジで?
今日だけで何度硬直すれば良いのか。そんな私に励ましの声が掛けられるのだけれどそれは…。
「姉御どんまい!」
『姉御呼びやめれ』
編入して早々私は補習が決定していた…。
──そして時は過ぎて放課後。
皆も帰り、机にうつ伏せる私が出来上がっていた。
これから補習かあ…。呪術と普通科目。一度学校出てるからって全てを記憶してる訳じゃないから、変に頭を使って甘いものが欲しい。
…のに補習だよ!飴持って無かったっけ、とバッグを探すと棒付きの丸い飴があった。
かさかさとパッケージを剥いて、どうせ数分遅れて来るんだろうな、責めるほどじゃない遅刻で有名(かどうか知らないけれど)な五条悟だし、と口に入れて待つ。別に何時から開始とか決まっちゃいないけれど。
確か呪術関連について、と言ってたっけ。片手を飴の棒に触れていたのを離し、ペラペラ捲っていく。口内にベリーの味が広がって、学校に居ながらの甘味という、背徳感がちょっと堪らない。甘くて酸っぱい…そう、例えるならば可愛らしい味。味に可愛いもへったくれも無いだろうけれど。
『ふーん、"帳"、ね……確か、家に来た時七海さんが言ってたっけ?』
「うん、そうそう!僕が来る前から自主学習とは感心だねーってキミって結構真面目だったんだっけ?」
『……あっ』
日中はアイマスクだった所を放課後は普通のサングラスに変えていた。
舐め始めたばっかなのにもったいない、と口に入れていた飴に突き刺した棒を持ち、カサ、と飴を包んでいたパッケージを机から取り出した。キープして後で食べるために。
それを見た悟。私を指差して騒いでいる。