第38章 農業生活 夏 五日目
「莉亜は優しいね。莉亜のこと、僕が幸せにするよ。約束する。僕も余所見なんてしない。莉亜だけを見てる。だから・・・たまには、僕に好きなだけ莉亜を頂戴ね。」
何か、最後に物騒な話しが聞こえた気がする。そして、たまにで本当にいいのか甚だ疑問だ。
「あ、そうそう。新しいお医者さんが来るらしいよ。女性のお医者さんだって。ホント良かったよ。」
「どうして?リヒト・・・女医さんが好きなの?」
「違うよ。莉亜の体を、僕以外の男に見せたくないからに決まってるでしょ。ローランさんの伝手で、来てくれることになったんだって。」
まさか、その為だけにリヒトはローランに依頼したのだろうか?ありえそうで怖い。相手はお医者様なのに・・・。
今回のデートは、風鈴を購入して帰宅した。でも、リヒトの用意周到さには脱帽である。新しい住人が増えるのは、楽しみだ。いい人限定だけど。
そう言えば、この村って子供がいないんだよね。なんて思ってたら、村の子供は街の学校に行っているらしい。だから、ローランやレックスたち家族は、街暮らしなんだ。
それはそうと、最近、シェリーとレントがいい雰囲気らしい。一歳年上の彼女、うん、いいよね。
家に帰ると、直ぐに夕食の準備。
「莉亜、どうしたの?」
そう、今の私は熱心にリヒトを見詰めていた。住人が増えて、また、ゴタゴタにならなければいいな。
「莉亜?」
目の前にリヒトの顔。
「ヒャッ!?」
後ろに引っ繰り返りそうになって慌てると、リヒトの腕に支えられた。
「莉亜、大丈夫?」
「あ、ありがとう。大丈夫。え、リヒト?」
優しく抱き締められ、背を撫でられる。
「前にも言ったけど、住人は増えていく。それに比例して色々なことがあるかもしれない。でも、あのイルミナさんが吟味してくれるみたいだから、そう可笑しな人は来ないはずだよ。」
「そうなの?」
「店を遣ってると、色々と聞こえて来るんだ。それと、心配なのは僕だって同じ。こんな愛らしくて可愛い莉亜が僕の婚約者なんだ。心配の一つや二つするのは当たり前だよ。」
その心配は必要ないと思うんだけど・・・。
「じゃあ、これからも私を夢中にさせてくれる?」
「喜んで。僕は今でも莉亜に夢中だけど。早くご飯食べて、愛を育もうね。」
ん?そういう意味じゃ・・・まぁ、拒否はしないけど。