第14章 12月(翌朝)
そーーーっと。
寝室のドアを開けると、ソファで何かを飲みながら
スマホを見ている黒尾さんが。
「………おはようございます」
「あ、おはよ。少しは眠れた?」
「少しはっていうか、黒尾さんよりだいぶ寝てます」
自分の定位置がわからない私は、とりあえずそこに立ったまま事実を伝える。
「気持ちよさそうに寝てたから。
ほら、こっちにおいで?」
「起こしてほしかったです………」
そう言いながら、言われるままに黒尾さんの隣へ。
「でも朝起きれないって聞いてたし」
「誰にですか?」
「佐藤デスよ?」
驚いたように笑っている黒尾さん。
ん?
「私ですか?」
「ウン。付き合った日に。海で」
「………そうですか」
全然覚えてない。
「他にはなんか言ってましたか?」
「あとは~わがままでズボラ?
あとはいろんなことをよく忘れるって(笑)」
「まさに私じゃないですか………」
ちゃーんと自己紹介をしたことを忘れてどうするんだ。