第69章 その後(のその後)
下着だけの私たちの肌が触れる面積は広い。
それが心地よくって、ぴたりと黒尾さんにくっつくと
もっと、っていうみたいに黒尾さんもくっついてきて
一年振りの黒尾さんを肌で感じる。
「このままくっついちゃえばいいのに。
そしたらもう、離れなくてすむのに」
「でも、そーしたらキスできなくなるけど?」
「それは困ります」
二人で顔を見合わせて、ふっと笑って
今日、何度目かわからないキスをした。
「なんかこんなやり取り、前にしたことありません?」
「そうだっけ?」
「わかんないですけど」
「けど、あるかもね」
うん。そんな気がする。
だけど
「…………あってもなくてもいいです」
「なんで?」
「今こうやってギュッとできてるなら
それでいいかなって」
黒尾さんの胸に顔を埋めて
広い背中に腕を回す。
そんな私を黒尾さんもギュッと抱きしめてくれて
黒尾さんの香りに包まれて
あぁ、幸せだなぁ。って。
そんな気持ちでいっぱいになる。
「ねぇ、黒尾さん?」
「ん?」
「今度こそ、私は黒尾さんのことが大好きだって。
私が黒尾さんのこと嫌いになるはずないって。
ちゃんと、覚えててくださいね?」
黒尾さんを見上げる。
「ハイ。奈々もな?」
「そうですね。忘れないように気をつけます」
「よろしく」
「あと、私から別れるって言うことないことも」
「言ったじゃん」
黒尾さんが笑う
「それは、黒尾さんが浮気するからです」
「してなかったじゃん」
今度は驚いた顔
「でも!黒尾さんがわかったって言うから」
「それはなぁ~」
困った顔
…………全部、黒尾さん。