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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第63章 過去(黒尾)


人違い?



いや、あれは奈々だ。




どうする?

声、かけるか?





悩んでいると、男二人組に声をかけられて

ウザそうに無視をしている。




また、電話をかける。


だけどスマホを見るだけで、出てくれない。





歩き出す奈々に


俺も横断歩道へ向かう。




見失わないように、ずっと見ていたけど

だけど、その様子はどんどんエスカレートして。





ヤバイな



どんどん状況は悪くなるのに、

なかなか信号は変わらない。




とりあえず電話をかけるけど、やっぱり見るだけで出ない。





ついには一人に手首を掴まれて

もう一人にスマホを取り上げられて。





アイツらまじで何やってんだよ?!




相変わらず赤く点灯している歩行者信号にも


イライラはさらに増して




一番は、すぐに動き出さなかった自分に

どうしようもなくイライラした。





だけど



もう一人、男が近づいてきたかと思うと



そいつは奈々の肩を抱き寄せて





そして、奈々の手を引いて歩き出す。




奈々もそれを嫌がる様子もなく、



むしろそいつは、たぶん泣いている奈々をなだめて


やっぱり奈々はそれを受け入れている。





「……………ハハッ」





乾いた笑いが

ひとつ、漏れた。





そっかァ。



そういうことかァ。





8月に入って、連絡がなくなった理由





奈々が辛い時


近くにいてあげることができなかった。




いる、努力をしてあげることができなかった俺は



何も言う資格はない。





スマホの通話履歴を遡って





「あーーー。研磨?


ゴメン。急用できて行けなくなった。

悪りぃけど、俺の分立て替えててくんない?



…………あぁ、ウン。

スマン。みんなにもよろしく伝えてて。

ゴメン。じゃあよろしく」





研磨に「どうしたの?」と聞かれたけど


何も答えられなかった。







ただ、この二ヶ月





俺たちは大丈夫だなんて


なんの根拠もないのにそう思っていた自分を





ぶん殴りたかった。
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