• テキストサイズ

【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第59章 5月中旬(海)


「…………綺麗だな」





私に続いて隣に寝転んで


空を見上げたアキくんからも漏れる。





海が好き


季節を感じるものが好き



そして、空が好き





だけど




最近は、見上げることも忘れていた。




最後に見上げたのは、いつだったんだろう。



とにかく、我武者羅に


前だけを向いて走り続けた数ヶ月





もうすぐ一年





ただ、波の音だけが私たちの間に心地よく響く





今にも降ってきそうな星空は



世界を優しく包み込んでくれているような





そんな、気がした。







黙って


二人で寝転んだまま、広がる星空を眺めた。





私たちの間を流れる夜風は心地いい。





そして




だらりと放り出していた私の左手に


アキくんの右手が触れて




そして、そのまま手を繋ぐ。





じわりと



そこから熱を感じる。





波の音に




スーーーッと


私から力が抜けていく。





「ねぇ」

「あのさ」





言葉が重なる





「アキくんからいいよ」



「いや。後でいいわ。

…………どうした?」





アキくんの方を見ると





優しい


アキくんのその顔を見ると、ホッとする。





この数ヶ月



…………もうすぐ一年





その表情に、何度も助けられた。
/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp