第57章 4月下旬(おにぎり宮)
「え?」
質問の意図がよくわからず
思わず聞き返す。
「あ、いえ。隣、いいですか?」
あ~なるほど
「ぜひぜひ!」
「じゃあ赤葦くんも食べて帰るんやな?!」
「そうします。なので、コレとコレも一緒に」
「ありがとうございます!
ちょっと待っててな~!」
「お願いします」
宮さんに注文を終えた赤葦さんが隣の席へ
「お疲れ様です。驚きました。
よく来るんですか?」
「よく、来てるのかはわからないですけど、
定期的に食べたくなって来てます。赤葦さんは常連さんですか?」
「よくわかります。
宮さんのおにぎりと食事、美味しいですもんね。
時間の都合で頻繁には来れないですけど、
オープンした時からお世話になってます」
「へぇ~!めちゃくちゃ常連さんじゃないですか!
さっきも実は、こっそり盗み聞きしてたんですけど(笑)
宮さんとの会話、常連さん!って感じで、なんか羨ましかったです!」
「あぁ。ただ、宮さんのことはそれ以前から知ってたので」
「お友達とかですか?
あ、先輩後輩とか?」
そういえば、さっきの会話で
"赤葦くん" "宮さん" と呼び合っていたのを思い出す。
「いえ、同級生です。
ただ、高校の時の部活繋がりというか」
「何部だったんですか?」
「バレー部です」
「へぇ~!なんか意外です」
「よく言われます(笑)」
あ、失礼なこと言っちゃったかも。
言った後に後悔
「なんかすみません」
「え?」
突然謝る私に、赤葦さんはきょとんとしている。
そりゃそうか。
「いや、運動部って聞いて、意外ですって。
失礼なこと言っちゃったなと。スミマセン」
「あーそんなことか。
こんな仕事だし、よく言われますよ」
にこりとフォローしてくれる赤葦さんの笑顔に癒される。