第55章 3月
一人でこっそり、ちょっとだけ感傷的なっていると
会議室のドアが開く。
いつもは私が出迎えに行くんだけど
ここで待つことは、なんだかより緊張感が増した。
雑誌の出版社からいらしたのは3名
女性2名と、男性1名
それぞれと名刺交換を行なっていく。
「株式会社〇〇の佐藤と申します。
どうぞよろしくお願い致します」
「株式会社□□の赤葦と申します。
こちらこそよろしくお願い致します」
「頂戴致します」
「頂戴致します。
今回の企画、佐藤さんの案なんですよね?
よろしくお願いします」
にこりと微笑む赤葦さんに、こちらも笑顔で返す。
それから初めての打ち合わせはスムーズに進んだ。
プロ同士の会話を聞くのは、
とても勉強になったし、面白かった。
商品のイメージカラーも決まり、
今度はそれを持ち帰って、専用ソフトで
ポップやパッケージのデザインを考えなければいけなくて。
もちろん、最終的には
クライアント先のデザイナーさんがやってくださるんだけど、
デザインイメージとか嫌いじゃないならやってみてと上司に言ってもらい、
ありがたく引き受けてきた。
デザイナーさんにソフトの使い方を教えてもらい
久しぶりに終電まで残業。
だけど、全然苦じゃない。
むしろもっとやりたいけど、
また明日来れば続きできるし。
今日はここまで。
我慢して帰ろうっと。
そんな気持ち。
もちろん不安もあるけど、
まわりはプロばかりだし
その中で上司はとりあえず任せてくれたし。
そういう、デザインとかの知識全くないです。
ともちゃんと伝えてあるし。
あの時、本当に頑張ってよかった。
よく頑張った!私!
明日が、楽しみだ。