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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第54章 12月.2(松川)


だけど…………




この香りが特別だから


いけないんじゃない?




そこのブランドで一番人気の香りだよ?



現に一静さんも

同じ香水を持っていた。




この香水を付けている人なんて、

世の中にめちゃくちゃいるってことじゃん?




これは黒尾さんだけの



特別な香りじゃ



ない。





「ううん。この香り、好きです」





そう笑顔で返す私に、

ほっとした表情を見せられる。





「そ。よかった」



「………一静さん。お願いがあるんですけど」



「なに?」



「これからも、私と会ってくれませんか?」



「もちろん」



「ありがとうございます」





嬉しいな。





「………あと、もう一つ。


私と会う時、今日の香水

つけてきて、くれませんか?」



「いいよ。じゃあ俺からも。

俺も、奈々ちゃんのこと誘っていい?」



「むしろ誘ってください」



「ありがとう。

今日もさ、実はまだ仕事しようと思えば残ってたんだけど。

だけど奈々ちゃんから連絡きたから

急いで強制終了させた(笑)」





空に向かってハハッと笑う一静さん





「………なんか、すみませんでした」





なんだか申し訳ない





「急ぎじゃないから大丈夫。

だし、それだけ嬉しかったってことだよ」



「だったらよかったです」





二人で並んで歩く






この香りはもう、

黒尾さんだけの香りじゃない。





一静さんの香り





大好きだった香りで黒尾さんを思い出して

もう、泣かないように。





この香りで黒尾さんのことは想わないし、




もう、黒尾さんのことは





思い出さない。
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