第53章 12月.2
………駅の手前で立ち止まる
そのまま電車に乗ればいいんだけど
さっき送った、まだ既読が付かないメッセージ
もしかしたら、なんて
淡い期待をちょっとだけ抱いて、
目の前のカフェに入る。
コーヒー、
は飲めないから
ミルクティを一杯
別に帰ってもやることないし。
一杯だけ、休憩して帰ろう。
そう、これはあくまでも休憩
淡い期待が叶わなかった時の、自分への予防線
人間観察が好きな私は、いつも通り
通りに面したカウンターに座ったんだけど。
ウン、失敗
目の前を、仲良く手を繋いで歩くカップルが通り過ぎて
思わず視線を下げた。
…………帰ろ
まだ5分も経っていなかったけど
これ以上、ここにいるのは危険だ。
まだ熱いミルクティを
頑張って体に流し込む
だけど、まだ熱いから
なかなか量が減らない。
………申し訳ないけど、残そうかな。
そう思いながら、
カップの中でゆらゆらと揺れているミルクティをボーッと眺めていると
パッと
今まで真っ暗だった画面が光って
その光った理由を確認すると
【お疲れ様。今日はそろそろ帰ろうかなと思ってるよ。
奈々ちゃんは?もう仕事終わった?】