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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第50章 11月(松川)


「………で、そこから救いあげてくれたのが、

元彼だったんです。


ただ、その人とは………

結局8ヶ月くらい?


そういえば、1年も一緒にいなかったのか。

人生で考えると一瞬でしたね」





勝手に話したのは私なのに



思わず泣きそうになって、

無理やり笑顔を作る。




そして、元彼


…………違う、元々彼。




あのことはいつでも面白おかしく話せるのに

黒尾さんのことは、無理だった。





だけど、いつか



黒尾さんのことも

そうやって話せる日がくるのかなって。




そうだと、いいな。





「恋愛って難しいですね。

なんとなくそれっぽいことやってきてみたけど、

私には向いてないみたいです」





お酒を一口


さすがに4杯目となるとふわふわする。




だけどやっぱり頭の中は意外としっかりとしていて





「………はぁ」





思わずため息





「………え?」



「あ、ごめん」





ちょっとびっくりして声が出たのは、


一静さんの手が

私の頭を、そっと撫でてくれたから。



その手が、とても優しかったから。





「………時間、大丈夫?」





そう言われて、スマホを確認



今出れば、終電には間に合う。





「………終電、間に合いそうにないです」





困った顔をしながら、嘘をついた。





一人になりたくなかったから?





ううん。



この人ともっと話していたいなって思ったから。





「じゃあ、もうちょっと相手してくれる?

あと、お誕生日おめでとう。

せっかくならピッタリに言いたかったけど」





0時を3分過ぎた頃、


私の隣にいる今日初めて会った人はそう言ってくれた。





「ありがとうございます。

じゃあ、私の相手もしれくれますか?」



「うん。もちろん」





26歳になった私の隣には


名刺一枚とその人の口から話してくれた情報だけの


今日初めて会った人がいる。




そしてその人と話しているうちに、


黒尾さんと過ごした25歳が終わった。
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