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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第49章 11月


ゆったりとした時間と

まわりのうるさすぎない音が混ざり合う薄暗い店内で、


ちびちびと飲みながら本を読むのは

なかなか好きかもしれない。




といっても、気づいたら3杯目。



でもまぁ

ちゃんと本の内容は理解できてるし。



日本酒を嗜む回数を重ねるごとに、

少しずつ強くなってる気がするし。





ガタン





なんとなく音のした方を向くと


カウンターの角を挟んで

隣の隣の席に一人で座っていた男の人が

席を立ってお手洗いに向かう。




その、姿を

なんとなく目で追ってしまう。



目で追ってしまったのは


その人の背が、

ものすごく高かったから。





また気配を感じて顔を上げると

さっきの人が戻ってきて。




改めて、黒尾さんくらい背が高くて



思わずドキッとした。





だけど、もちろん


その人は黒尾さんじゃなくて。





「お姉さん、一人で飲んでるの?

それとも待ち合わせ?」





思わず見入ってしまって


目が合って。





「あ、一人です」



「そうなんだ。隣、いいですか?」



「あ、はい」





そう返事をする私に、ニコッと笑って




グラスを持って、私の隣の席に移動して





「乾杯の前に」





そう言いながら

スッと名刺を差し出される。





「ありがとうございます。



松川………

一静さんって、綺麗な名前ですね」



「そう?ありがとう。

お名前、聞いても?」



「あ、今日名刺持ってなくて。佐藤です」



「下の名前は?」




「奈々です」



「奈々ちゃん。はじめまして」





そう言って、グラスを差し出されて



半分だけ入っている手元のグラスをそっと当てると


薄く響く音が、なんだか心地よかった。
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