第38章 7月(月末)
そんなにいたんだ。
知らなかった。
「あ、でも最終便とか始発で帰ることがほとんどだったみたいだよ?
あとは急遽日帰りで来たりとか………!」
慌ててフォローしてくれるさおりに申し訳なさを感じるけど、
あまりにもショックで。
だって、終電より早い時間に帰れる日は何日もあった。
黒尾さんが終電だったとしても、私が待ってればいいし。
だって仕事は山のようにあるんだから。
「ちなみに、今日は?」
「今日は、いないよ」
今日は木曜日
「ちなみに。
今週の黒尾さんのスケジュール、知ってる?」
「………すごく、ざっくりと」
「今週も………?」
「…………今週は、月曜から、3日間」
…………………。
ってことは、昨日までいたんだ。
うん。全然知らなかった。
「ねぇ、あとひとつ。
月曜の黒尾さん、何時頃からいたか覚えてる?」
「………始業時間から」
すごく言いにくそうに言わせてしまって、本当に申し訳ない。
「なんかゴメンね?でも教えてくれてありがと」
始業時間にはいたってことは、
たぶん前日にはこっちに戻ってきてたはず。
だけどもちろん、
そのことも私は知らない。
ちなみにその後の同期研修の内容は全く頭に入ってこなくて
後からさおりに説明しなおしてもらった。