第34章 週末、最終便で(お風呂)
「よかったです。私はずっと黒尾さんと一緒にいたいです。
でも、私、
黒尾さんが大変な時、何もできなかったし
これからもやっぱり、何もできないかもしれません。
それでも、いいんでしょうか………」
「何かしてほしい時はお願いするから。
その時はお願い、聞いてくれる?」
「もちろんです」
「じゃあもう一つ」
「はい」
「俺のこと、好き?」
ずっと背中を向けていたけど。
狭いお風呂の中だけど
また向きを変えて
黒尾さんに向き直って。
「黒尾さんのこと、
誰よりも、大好きです」
フッ……と
黒尾さんから力が抜けるのがわかった。
「俺も。こんなこと思うの初めてだけど。
"愛してる" ってこの気持ちのことなんだろうなって、
今、思ってるよ。
………本当に。
お前のことが愛おしくてしょうがないよ」
私しか知らない、黒尾さんの優しい表情。
「ありがとうございます」
「こちらこそ。
ほんと、話してなくてゴメンな?」
「黒尾さん、悪くないです。
私がもっとどーんと構えて、大人だったらよかったんです。ごめんなさい」
小さな声で、もっと頑張りますって言う私に。
「今のままでいてくんない?」
私の頬に黒尾さんの手が添えられて、そっと目を閉じる。
こんな私でいいんだろうか。
だけど、さっき
黒尾さんは笑っている私が好きって言ってくれたから。
いつも、笑っていられる私でいよう。
そのくらいしかできないし、
というかそれすらできてなかったけど。
だけど、それだけはできるように。
これからも、黒尾さんの隣にいることが出来るように。