第32章 お昼の電話
『ウン。会ったらもっと元気出るんだろーけどな。
でもそれは、もう少し我慢します』
「ちゃんと、教えてくださいね?」
『ん?』
「"今" の黒尾さんのコト」
離れているからこそ、黒尾さんのこと
ちゃんと知りたい。
『ウン。話、聞いてくれる?』
「もちろんです。
今日また夜に電話ください。私の方が早く帰ってると思うので」
『ありがと。また連絡する。仕事中にゴメンな』
「このための休憩なんで。いつでも連絡待ってます」
『………ありがとな。また夜連絡する』
「はい。待ってます」
『じゃ、お疲れ』
「はい。お疲れ様です」
電話が切れるのを待って、スマホを耳から話す。
………こんな黒尾さんは初めてだ。
何があったんだろう。
仕事のことは、わかるようでわからない。
次に黒尾さんと会う予定は
2週間後の週末に、黒尾さんがこっちに帰ってくる時。
スマホのロックを解除して、
福岡行きの飛行機を検索。
金曜日の最終便。
よかった。まだ空きがある。