第29章 無事に(報告)
重い体を動かして
「いてててて………」
「腰?(笑)」
「そうです!誰かさんのせいです!」
黒尾さんを睨んでみる。
「思い出したの?(笑)」
「何一つ思い出せません!」
いてててて………
黒尾さんと向き合って
黒尾さんのほっぺを両手で包み込む。
「黒尾さん、好きです」
「ふっ」
力が抜けたような笑顔
「俺も。めちゃくちゃ好き」
「知ってます」
「ならよかった」
「私、福岡行ったことないんです。
だから、遊びに行くの楽しみです!」
「いろんなとこ、一緒行こうな?」
「はい。せっかくなのでいろんなとこ、行きましょう。
九州だから、温泉もいいな~!」
「いいね。なんかちょっと楽しみになってきた」
黒尾さんに引き寄せられて
「月一回くらいは会えますかね?」
「2週間置きくらいで帰ってこようと思ってたけど」
「じゃあ、私も行けば
週一で会えることもあるってことですか?」
「だなぁ?」
「今と変わんないじゃないですか~!」
「お前はほんと、前向きですごいな」
「そうですか?だって黒尾さんですもん。
黒尾さんと付き合ってたら、遅かれ早かれそういう時期ってくる、
とかはまだ考えたことはなかったですけど(笑)」
「考えてよ(笑)」
本当に
「ね?(笑)でも、スッと入ってきたんで。私は大丈夫だと思います。
むしろ黒尾さん、別れるとか言いませんよね?」
「そんなこと言うなら、最初から言ってマス」
「ちなみに私、そんなこと言われたら泣いちゃうので。
やめてくださいね?」
本当に
黒尾さんに捨てられたら、生きていけない気がする。
「俺も泣いちゃうので、お互いやめましょう」
「そうしましょう」
ふふって
一緒に笑って。
ギュッて抱きしめられて
抱きしめ返して。