第22章 バレンタイン(当日)
頭を優しく撫でられて、キスされる。
「ウーン。甘くて美味しい」
「私はちょっと、苦かったです」
私が苦手な、コーヒーの味。
「あ、コーヒー?大丈夫?」
「黒尾さんのコーヒーは、大丈夫です」
「なにソレ~。
お前はなんでそんなにかわいいことばっかり言うの?」
「思ったことを言っただけです」
ただ、それだけ。
「じゃあ、もうひとつ聞きたい言葉があるんだけど」
「なんですか?」
もう一回、唇が重なる。
「俺のこと、好き?」
「どうしようもないくらい、大好きです」
ゆっくりと体が押し倒されて、背中と床がくっつく。
「黒尾さんは?」
「俺だけの奈々にしたいなんて思っちゃうくらい、好き」
「そうですよ?」
私はそう思ってるんだけど。