第22章 バレンタイン(当日)
朝起きて、黒尾さんが私の朝寝坊とゴロゴロに付き合ってくれて。
遅めの朝食、
いやブランチを食べて。
二人で狭いソファにぎゅうぎゅうになりながら
ゆっくりと映画を見て過ごした。
外は気持ちのいい青空が広がっているけど
こんな休日も悪くないよね。
映画を見終わったところで。
「黒尾さん。おやつ、食べませんか?」
「うーーーーん!食べる!」
大きく伸びをした後、私に抱きつきながらそう言う黒尾さん。
可愛い………
「じゃあ準備するので、ちょっと待っててくださいね」
「俺も手伝うよ」
「あ、バレンタインのチョコレートなので、待っててください!」
「おー。じゃあ楽しみに待ってます」
冷蔵庫から生クリームを取り出して。
「え、今から作ってくれる感じ?」
ハンドミキサーの音に驚いた黒尾さんが様子を見に来る。
「仕上げです!座って待っててください!」
生クリームを泡立てて、お皿に盛り付けて。
そして人生で初めて、コーヒーをいれる。
もちろん、この部屋でコーヒーの香りが広がるのも初めて。
不思議な気分。
「お待たせしました~」
トレーの上の食器をテーブルに移して。
「これ、もしかして作ったの?」
「はい」
「まじか~。俺今ちょっと感動してる」
「そう言われると、プレッシャーですね。
味はお店の方が美味しいかも」
「そういう問題じゃないでしょ。
あと、コーヒーいれてくれたの?」
少し驚いたような黒尾さん。