第5章 絶望
「バレーが出来ないって、凄い恐いことなんですよ。好きなのに出来ないって、凄く苦しいんです」
まだ胸の奥に残るわだかまりのようなものを認め、目の前で練習しているプレーヤーを目にいれる。
(乗り越えた、なんて嘘ね)
苦しい。悲しい。辛い。
ぐるぐるうごめく感情に合う言葉を探す。
でも、どんなに苦しくったって、どんなに悲しかったって、どんなに辛かったって、バレーを嫌いになるなんて出来っこないんだ。
翔陽のバレーをやる姿を見ているとその時の自分を思い出す。
「やっぱり好きです、バレー。二度とあのコートに立つなんてことできませけど、支えたいんですよ」
(うん、嘘じゃない。やっと気持ちの整理がついた)