第11章 俺のだから(D.T)
「FCのスタッフさんでさー、かわいい子いるよね」
ツアーのリハ日、小休憩の時の理のほぼ独り言が耳に入った。
「へー、どんな子?」と和輝が返事をする。
「ポニーテールでさ、いっつも走ってんだよね、なんつーか小動物みたいでさ。名前なんてーのかなー。今度捕まえよっと」
「理!さっきのひっかかったとこ、もっかいやんぞ」
つい語気を強めてしまった。
「え、大希なに怒ってんの…」
怒ってる訳じゃ、ないけど…イラっとしたのは確かだ。
数日後。
「あの子捕まえて名前聞いちゃった!柳あみちゃんて言うんだって!近くで見たらやっぱかわいいわ〜。俺いっちゃおうかな…彼氏いんのかな」
楽しそうな理にまた軽く腹がたった。何か文句を言おうと思うが思いつかないので、乱暴に席を立ち喫煙所に向かった。
(はあ〜、イライラすんな…)
しゃがみ込んで頭を抱えていると、喫煙所には縁のないはずの和輝が入ってきた。
「どーしたんよ大希」
「あー、悪い悪い。なんでもねーのよ、すぐ戻るわ」
「柳ちゃん?だっけ?あの子の話題になるとイラつくのなんで?
もしかしてだけど付き合ってたりしてる?」
「和輝…お前エスパー?」
「いや遊も気づいてるわw んで、あの子は何なの」
「2人で会ったりは…するけど、付き合っ……てんのかな…」
俺は和輝に彼女とのことをかいつまんで説明した。
「大希は好きなの?」
「んー、ん、嫌いな女は抱けねえわな。かわいいとは、思ってるよ」
「彼女は?好きとか言ってくれんの?」
「聞いたことねえな」
「今の時点では限りなくセフレだな」
「えっ…俺らそんなハレンチな関係?」