• テキストサイズ

bird cage 【R18】

第10章 play 8 ※




それから少ししたある日
母親が「お出かけしましょう」と言ってタケルを連れ出した


生まれて初めて母親と2人きりで外出したタケルは
どこに連れて行ってもらえるのかと
ワクワクしながら車に乗り込んだ



着いた先は
ホテルの一室だった

ドアの所で母親に頭を撫でられたことは鮮明に覚えていたが
その後の記憶はあまり残っていなかった





その夜
母親はタケルのベッドで添い寝をしてくれた


優しく髪を撫でながら
「悪い夢を見たね」と耳元で繰り返し囁かれ
タケルは
その日起こった事は全て夢だったのだと思い込むようになった



現実に起こった事を受け入れるには
タケルの心は脆すぎたのだった





それからも
同じような事が起こる度
母親はタケルをベッドの中で抱きしめ
眠りにつくまで優しく髪を撫でながら囁き続けた



大好きな母親が自分だけを見てくれるようになった事がとても嬉しかったタケルは
次第に
母親の操り人形のように
全て言いなりに動くようになっていった






けれど

タケルが14歳になった時

母親が交通事故に遭い
突然亡くなってしまった




母親を失ったその夜から
暗闇でいくつもの腕に押さえ付けられ
知らない大人達に乱暴される場面が
タケルの夢に繰り返し現れるようになった



独りでは上手に眠ることができなくなってしまっていたタケルは

その頃から
側で一緒に眠ってくれる相手を探すようになっていったのだった










タケルは再びベッドに寝そべり

さっきまでチサトが横たわっていた場所に頬を寄せると

目を閉じ

微かに彼女の香りが残るシーツを

愛しむようにそっと撫でた











/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp