第9章 play 7 ※
「……」
『…………ぁ………すみません…………アリスさんにとっては……大切な方なんでしたね…』
「……いいの……気にしないで…」
『………私がタケルさんと会っているのは…仕事のためです………私がここにいるのは…タケルさんが相手役に推薦してくださったからなんです…………だから…このドラマの撮影が終わって……タケルさんの興味が他の人に向くまでと思って……今だけ…我慢してます…』
「……」
『…………っ…アリスさんのような……才能のある方には…分かって頂けないかも知れません………でも…何と思われようと……たとえ軽蔑されたとしても………それが……私の正直な気持ちです……』
思い詰めたようなチサトの表情を見て
しばらくの間黙っていたアリスが
静かな声で言った
「…………私だって……ずっとこの世界で生きてきた…………目の前のチャンスをモノにするためにどんな手段を選んだとしても………必死に頑張ってる人を…軽蔑なんてしないわ……」
『………アリスさん……』
涙ぐんで顔を上げたチサトに
アリスは微笑んで頷いた