第6章 共演者
驚きのあまり固まってしまったチサトの代わりに
カヲルが声を発した
「……滝本さん………お疲れ様でした…」
カヲルは後部座席のドアを閉めると
車の側に立っているアリスに頭を下げた
「…お疲れ様……久しぶりにタケルと食事でも…って思ったんだけど……先約があったみたいね…」
「……そうですね……申し訳ございません…」
「………タケルが無理なら……私はカヲルでもいーんだけどな?」
「……大変申し訳ございません…」
「………分かったわ………クス……じゃまた今度ね…」
アリスは笑顔で手を振ると
自分の車に乗り込み帰っていった
『……』
絶句しているチサトの隣では
タケルが何事もなかったようにスマホを見ていた
カヲルが運転席に戻ると
車は滑るように走り出した