第5章 play 4 ※
「……何階ですか…」
『…………1…2……階…………120…1……』
カヲルは言われた通りにエレベーターのボタンを押した
部屋の前まで行くとチサトの身体を降ろし
ドアの鍵を開けてバッグを手に持たせた
「……ここで…大丈夫ですね…?」
『……』
何も答えないチサトを後に
カヲルがその場を去ろうと背を向けた
その時
背後でバッグが床に落ちる音がして
チサトの腕が腰に回された
「……どうしたんです…」
『……』
「…………蒼井さん……離してください…」
『……』
カチャ
近くのドアから鍵を開ける音が聞こえた
人目を避けるため
カヲルは仕方なく荷物を拾い上げると
チサトと共に部屋の中へ入った
「………蒼井さ…」
『…私を…………抱いてくれませんか…』
「……っ…」
『…………どんな風に思われてもいい………気持ちなんか無くていいから…っ……………………こ…のまま…眠るなんて…………もう………耐えられないんです……』
「……」
『………………助け…て………』
チサトはそう言うと
その場に泣き崩れた
行動が全て裏目に出て
もう
どうしたらいいのか分からなかった
絶望感に襲われ
ただ泣くことしか出来ない
心が壊れる寸前だった
不意に
あたたかい温もりに包まれるのを感じた
顔を上げると
チサトはカヲルの腕の中にいた