第3章 play 2 ※
帰りの車の中で
チサトはずっと黙っていた
自宅のマンションに着き、カヲルが車を停めると
覚悟を決めて口を開いた
『………こんな事……ずっとしてきたんですか?………私だけじゃないですよね?』
「……………否定はしません…」
『………カヲルさん………どうして……タケルさんに手を貸すんですか?』
「……私は……マネージャーですから…」
『……だからって…こんな事!…………カヲルさんは……平気なんですか?……心は痛まないんですか!』
「……」
しばらくの間黙っていたカヲルが
静かな声で答えた
「………………今は………後悔しています……………貴女のような方を……選ばせてしまった事を……」
『………私のような…って……』
「……………タケルが声を掛けた女性は……皆さん自分が選ばれたことを喜んでました………逆に…相手の方が熱心になってしまって……」
『……』
「………そうなるとタケルはすぐに嫌気がさして…もう呼ばなくなる……これまではその繰り返しでした…………タケルは…相手に拒まれた事がなかった………貴女のような反応をされたのは初めてだったんです……」
『……』
「………タケルは…貴女に拒絶されたことで……逆に執着心を持ったように思います…………でなければあんな…身体に傷を付けるようなマネは…」
その言葉を聞いて
チサトは無意識に自分の手首を掴んだ
『…………そ…んな……私が…嫌がったから………こうなったっていうんですか…?』
「………貴女は何も悪くありません………でも……タケルは…貴女の気持ちを自分のものにするまで……諦めないと思います…」