第17章 願い
『………私………なんてことを…』
身体が震え
嗚咽が込み上げた
『…………………め………なさ……………………ごめ……なさい……………ご…めん………なさい……』
「………チサト…?」
泣きながら謝るチサトを抱きしめ
タケルは動揺したように言った
「…………どうすれば…カヲルになれるのか……分からないんだ………………もう一度……やらせて……」
スカーフを拾い上げたタケルの腕を
チサトは強く掴んで首を振った
「………チサト……?」
『………………もう…………カヲルさんになろうとしてくれなくていいです……』
「……」
『……………タケルさんは……タケルさんのままで………………そのままでいい……』
チサトの言葉に
タケルはハッと息を吸い込んだ
ガラス玉のように美しい瞳から
涙がポロポロと溢れ落ちて
シーツを濡らしていく
チサトは腕を伸ばし
タケルの身体を包むように抱きしめた