• テキストサイズ

bird cage 【R18】

第16章 訪問者




カヲルのベッドに横たえ
毛布を掛けてやると
チサトはタケルに背中を向け
小さく膝を抱えた


何かを思い出したように
身体を震わせる

タケルの目には
そんなチサトの姿がかつての自分と重なって見えた


「……」


タケルは宥めるように
チサトの髪をそっと撫でた



母親がそうしてくれたように
優しく言い聞かせる


「……チサト………いまは目を閉じて…少し眠るんだ…」

『……』

「…………ゆっくり……息を吸って……」


言われるまま
チサトは大きく息を吸った


『……………カヲルさんの…匂いがする…』





繰り返される呼吸が

いつの間にか
小さな寝息に変わった








あの雑誌が
チサトがカヲルの死を受け止めるためのきっかけになるなんて
夢にも思っていなかった


けれど
これで良かったのかも知れない

現実に向き合う事ができたら
あとは時間が解決してくれるだろう


チサトの涙に濡れた頬を見つめながら
タケルは
そんな事を考えていた





眠ってしまったチサトを起こさないように

タケルはベッドから降りると

カヲルの部屋を後にした





/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp