第16章 訪問者
その夜
仕事を終えたタケルが自宅へ戻り
軽くシャワーを浴びてから明日の準備を整えていると
突然チャイムが鳴った
時計は
既にam 0:00を回っていた
不審に思いながらモニターを見ると
そこには
チサトの姿が映っていた
タケルは慌ててチサトを階下に迎えに降りた
数ヶ月ぶりに会ったチサトは
目の下にクマを作り
げっそりと痩せ細って
以前の健康的な姿など見る影も無くなっていた
エレベーターで部屋に戻り、ドアを開けてやると
チサトはふらつく足取りで室内に入った
「……大……丈夫か…?」
『………タケルさん……………これ……』
チサトはそう言うと
持っていたバッグから雑誌を取り出した
それは
例の週刊誌だった
『……私が見たあの事故は……夢じゃなかったの?………カヲルさんは?…………カヲルさんはどこ⁉︎』
「………チサト…」
『……ぃ…ゃ……………嫌よ…………そんなの嫌‼︎』
言い淀むタケルの姿を見て
チサトは頭を抱え
その場に座り込んでしまった
「…チサト……落ち着いて…」
タケルは
チサトを支えるようにして立ち上がらせた
カヲルの部屋へ連れて行き
ベッドに座らせる
「……全然寝てないんだろ?………少し…横になった方がいい…」
『……でも…っ…』
取り乱して泣きじゃくるチサトをなんとか宥め
持っていた安定剤を飲ませた
薬はすぐに効いて
チサトの身体から力が抜けてきた