• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第6章 呪いの享受③


 私の話はそれで終わり。

 その人はもう二度と、私の前に現れることはないから。


 私の話を、五条先生は黙って聞いてくれた。

 静かに、何も言わずに。


「もう誰も、私のことを守ってくれないんだって。……もう私に優しくしてくる人はいないんだって」


 諦めて、また同じように呪われた私の前に。

 五条先生が現れた。


 あの人と同じように、五条先生は私に手を差し伸べてくれた。


「五条先生」


 いけないと分かっているのに。

 私は五条先生の胸に顔を埋めた。


「五条先生は……いなくならないで」


 もう、あんな思いはしたくない。

 ギュッと握りしめた拳に、落ちた雫が滴り落ちて、五条先生の胸を濡らした。


「私、強くなります。……守られるだけじゃない私になりますから」


 誰に何と言われても。

 不平等に守られるわけにはいかない。

 頑張るから。努力するから。

 強くなって、五条先生の世界で、心の底から笑えるようになるから。


「だから、五条先生は……そばにいて、ください」


 呪われた身体は、これ以上を望んではいけないのに。

 私は都合のいい言い訳を並べて。

 最強の先生に、最悪の足枷をかけた。


「じゃあ僕からもお願い」


 それでも笑顔をくれる五条先生は、やっぱり優しすぎるんだよ。


「……もう一人で溜め込まないで」


 五条先生が私の肩に触れる。


「……大丈夫、この行為はやましいことじゃないから」


 五条先生の唇が、また私の唇と触れ合う。

 こんな時に限って。

 お互いに、本当の心は隠して。


「……アイツもきっと、それを望んでる」


 五条先生の瞳には揺れた私の瞳が映ってる。


 ああ、やっぱり。

 五条先生は、あの人のことを知ってたんだ。


 そうしてまた重なった唇は、嘘の味がした。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp