第5章 ※呪いの享受②
重たい身体はベッドに沈み込んで動かない。
「……んっ」
伊地知さんが迎えに来てくれて、私と五条先生はこの部屋に戻ってきた。
車の中でもずっと、五条先生は私にキスをしてくれてた。
それなのに。
それでも私の身体で沸いた呪いが抜けきれない。
「五、条せんせ……っ」
ベッドの上に組み敷いて、五条先生が私にキスをする。
「ごめんなさい。……私」
「謝らなくていい」
暗い部屋の中、五条先生の瞳は月光を浴びたみたいに光って見えた。
濡れた唇が艶やかで、身体がまた疼いた。
「キスだけじゃ……もう、無理なんだろ」
唾液に含まれる呪力は極少量。
それでも定期的に呪力を抜く術としては、キスが一番手っ取り早くて、適してる。
でも今みたいに。
呪いと呪いが悪意を引き金に身体の中で沸騰した今。
微量流れたところで何も変わらない。
私の中の呪いは、もっと、確かな行き場を探してる。
「嫌だったら、言って」
五条先生はそう言って、私の唇から自らの唇を離す。
そして、私の下腹部に顔を埋めた。
「っ、五条せんせ……っ、だ、め!」
ぴちゃり、と淫らな水音が私の耳を刺激した。
私から溢れた呪力まみれの愛液が、五条先生の舌を濡らす音。
「ダメ? ……嫌ってわけじゃない?」
「そこ、で……しゃべら、な、で」
身体がビクビクと震えてしまう。
身体の中を、五条先生の舌が這ってるような感覚。
ダメなのに、気持ちよくて。
どんどん呪力がそこに溢れていく。
「あ……っ、んんっ、はぁ」
「皆実、あんまりエッチな声出すな。……最後までシたくなる」
私の下腹部から顔を離して、五条先生が困り顔で私を見下ろす。
膝に当たった五条先生の熱は、確かに膨張してた。
「五条、先生……私」
いいですよって。
言いかけた私の口を、五条先生がその濡れた唇で塞いだ。
「ダメだよ、皆実。……それは、好きな人だけに許して」
五条先生の切なげな瞳が私を射抜く。
ずくん、と溢れた呪いがまた五条先生を求めた。