第4章 呪いの享受
なんで、みんな……本当のことを口にしないんだろう。
その優しさだって、この体はもう素直に受け止められないのに。
汚いって。
呪われてるって。
あの怪物と同じだって。
あの子みたいに罵ってくれたら、楽なのに。
「ごめん、皆実。……僕の、ミスだ」
どうして五条先生が謝っちゃうの。
「僕の言いつけを守って、皆実が血抜いてないの知ってたのに」
違う、そうじゃない。
「僕が、皆実の呪力を抜いてあげなきゃいけなかったのに」
五条先生のせいじゃないのに。
どうして。
「五条先生……っ」
溢れそうなほどの呪力が行き場を求めて私の身体を駆け巡る。
早く、早くと。
私の神経細胞を犯して、身体がどんどん熱を持っていく。
「もっと……もっと、して」
首に腕を回したら、五条先生の身体が震えた。
引くよね、こんなの。
でも止められないの。
どうしたって、ロマンチックになんか、ならないの。
「…… 皆実」
五条先生が、私の背中を抱いて。
また唇を寄せた。